ソフトウェア開発の新手法・DevOpsへの移行は、組織に多くの利益をもたらします。早期の課題解決、社員エンゲージメントの向上やイノベーションに割ける時間の増大などのメリットが期待できます。
しかし、これは移行が成功した場合のことです。移行が確立するまで、組織は様々な問題に直面しますし、リスク対策を見誤れば、移行の全行程を通して困難について回られることもあります。しかし、幸いにもこういった問題は、系統的にアプローチすることで回避することが出来ます。そこで今回は、DevOpsへの移行を成功させるための8つの手順を整理していきます。
1. ビジョンを描く
まず、完ぺきなDevOps手法のビジョン設定から始めます。そこにはそもそも自社特有の事業ニーズにとってDevOpsの導入が妥当であるか否かの判断も含まれます。事業ニーズには様々な要素が挙げられますが、部門間連携の強化を通じたセキュリティ改善は、トリップワイヤのお客様の多くに共通する課題の一つです。
2. 幹部のサポートを得る
DevOpsへの移行は、組織の幹部が積極的に取り組まない限りなかなか成功しません。そのため、幹部にその必要性を十分に理解させる必要があります。DevOpsによる事業の効率化や収益の改善などの観点から有益であることの説明から始めるのがよいでしょう。その後は幹部と一緒に協力して推し進めることが重要です。労働生産性の低下がどうしても避けられない時期など、この変更が引き起こすリスクを特定し、幹部と共に対策を講じます。
3. システム・シンキングに優れた協力者をつける
DevOpsへの移行を最大限に活かすためには、まず小規模ベースで切り替えを実施し、対応力に優れたスタッフにテスト稼働を一任します。テスト稼働には、システム・シンキング（システムの全体像を把握する思考方法）に優れた人選が求められます。選ばれたメンバーがテスト稼働から得た経験や知見を活用して、組織全体にシステム・シンキングを拡大していきます。
4. 有益なツール戦略を策定する
ツールの活用はとても有効です。DevOpsの移行期間と移行後を通して、大いに役立つでしょう。版数管理、プロジェクト管理トラッキング、セキュリティ評価や変更管理は、システムの運用を確実にするものですが、こういった機能はあくまでも二次的なものです。もしろ、組織はそれぞれのツールの役割を明確にする必要があります。事業ゴールの達成に役立つツールを適用すること、これが自社に有益なツール戦略を策定するポイントです。
5. 短期マイルストーンの設定
DevOpsへ移行は大きな変化を意味します。そのため、道しるべとなるような短期的な目標を明確に設定します。設定した目標の進捗状況をモニタリングし、組織全体が望ましい進展を遂げていることを確認します。これらの目標には主要なステークホールダーや支援者に対する途中経過報告なども盛り込み、皆が変化を支持・期待する雰囲気を維持します。
6. 社員を訓練する
移行プロセスの一環として、新規ソフトウェアの購入や既存システムの再構成などの設備投資を行うことになりますが、だからといって社員研修の財源を減らしてもよいということではありません。むしろ、組織は、設備投資同様に、社員研修に投資することで、社員が新たな手法に柔軟に適応できるようサポートします。
7. 指標を使って移行進行管理を行う
短期目標同様、指標を用いて幹部や社員に移行が順調に進行していることを示します。つまり組織は、DevOpsの移行プロセスの進捗状況を、常に量的に分析する必要があります。そこから、DevOpsの実行に使用しているツールの見直しをしたり、移行の進展具合を把握したり出来ます。それをベースに成果を報告、各部門のモチベーションを高め、スムーズな移行に役立てます。
8. フィードバックを募る
DevOpsへの移行は、様々な部門、部署、そして個人に対して様々な影響を与えます。そのため、組織の継続的な拡大と改善のためにも関係者から継続的にフィードバックを得る体制を整備する必要があります。特に不満を抱えた社員を無視し発言する機会を与えないと、組織の成長を妨げる恐れがあります。
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