コンプライアンス制御|重要なのは適切な教育

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 2017.08.31  Japanブログ編集部

作成したコンプライアンスを制御することは、コンプライアンスへの取り組みを始めた企業にとって、恐らく最初の壁となる課題ではないかと思います。「制御」と言うと仰々しく聞こえるかもしれませんが、いわゆるコンプライアンスを機能させることと同義です。

コンプライアンスは、作成しただけでなは機能してくれません。全従業員がコンプライアンスの意味を理解し、その精神が隅々まで浸透してこそ意味があります。そのために、定期的なコンプライアンス教育が欠かせません。

しかし、初めてコンプライアンスに取り組む企業にとって、教育は最も難しい部分でもあります。

そこで今回は、コンプライアンス制御における教育のポイントや、具体的な方法について紹介していきます。

コンプライアンス教育で押さえるべきポイント

さっそく、コンプライアンス教育で押さえるべきポイントを下記に紹介します。

  1. 担当者を含め組織全体がコンプライアンスの重要性を理解する
  2. 目先の利益ではなく倫理方針に従う方が組織にとってプラスになることを理解する
  3. 組織の人間一人一人がどのように振る舞うべきかを明確にする
  4. コンプライアンス違反や法令違反があった場合の処罰を明確にする
  5. 効果的に研修を行えるタイミングを考慮する

これら5つのポイントの中で最も重要なのは、2の「目先の利益ではなく倫理方針に従う方が組織にとってプラスになることを理解する」ことです。

過去に実際にあった例を挙げてみると、とある製菓店で「賞味期限を改ざんする」という事例が発生したことがあります。製菓店からすれば「倫理」ではなく「利益」を優先した結果の行動です。

しかしその末路は、賞味期限改ざんが世に知れ渡り、ブランドイメージや顧客からの信頼性を失うことになりました。

「悪事は必ず暴かれる」という言葉がありますが、まさにその通りですね。企業としての利益を優先し、倫理を無視するといずれその報いが必ず訪れます。従って、「倫理か利益か」という分かれ道に立たされたとき、組織全体の人間を倫理を選ぶような行動が出来なくてはなりません。

コンプライアンスとは、言わばこの「倫理を取る行動」を徹底させるためのものと考えてもいいでしょう。

コンプライアンス教育は役職別に行う

コンプライアンス教育を行う上で大切なのは、必ず役職別に行うということです。組織全体にとってコンプライアンスの意味合いは同じでも、役職ごとに理解すべきことは、取るべき行動などが異なります。

新入社員,一般社員−基礎知識の習得

新入社員や一般社員に対してのコンプライアンス教育で大切なのは、基礎知識をしっかりと習得させ、コンプライアンス違反を犯したらどのような影響があるのか、従業員としての心構えなどを徹底して教育することです。

コンプライアンス違反のリスクは役職に関係なく存在しますが、やはり新入社員や一般社員による違反が多いのは事実です。

特に、本人は頑張って業務に取り組んでいるつもりでも、知らずにコンプライアンス違反を犯していしまっているケースは誰も救われません。「従業員の保護する」という観点からも、コンプライアンスに関する基礎知識の習得は必須だと言えます。

TL(チームリーダー),係長クラス−違反発生時の対処法の理解

TLや係長クラスにもなると既に現場責任が生じ、部下がコンプライアンス違反を犯した際に最も迅速に対処しなければならない役職でもあります。また、組織内でも新入社員や一般社員に最も近い存在であるため、行動の規範となるような姿勢が必要です。

ですのでTLや係長クラスのコンプライアンス教育では、部下の行動規範となるような教育や、コンプライアンス事例を交えてケースごとの対処法を理解させることが重要となります。

課長,部長クラス−組織的な問題解決策の実践

課長、部長クラスでは部下の行動規範となるようなコンプライアンス教育に加え、企業のコンプライアンス問題を自分事のように捉え、解決策を立案し、実践していくための行動力を付けることが重要です。

あるいは、「コンプライアンスを機能させるための、管理職の役割」について説くと、効果的な教育ができるでしょう。

取締役,経営者クラス−トップとしての役割

コンプライアンス教育は取締役や経営者といった組織のトップにも必要です。むしろ、コンプライアンスの重要性が低かった時代に社会経験を積んできた世代には、一般社員以上に徹底したコンプライアンス教育が必要になるケースもあります。

まずは企業として社会的使命、そして経営者たるものの責任について理解させることが重要となります。近年は企業の社会貢献活動もブランドイメージや利益に直結するため、組織のトップも社会の一員であり、果たすべき使命があることを理解する必要がります。

また、組織のトップが率先してコンプライアンス体制を構築していけるような、そんな教育を目指すといいでしょう。

具体的なコンプライアンス教育法

ここで、具体的なコンプライアンス教育方法を紹介していきます。教育方法として何が最も優れているということはなく、都度その場面に合わせて臨機応変に組み合わせていくことが大切です。

  1. 社内講師による研修、説明会
  2. 社内行動規範やQ&Aなどを含むハンドブック等の配布
  3. 社内ポータルサイトなどでの情報発信
  4. 有識者を招いての法令研修、勉強会
  5. 社外講師による研修、説明会
  6. eラーニング配信
  7. コンプライアンスビデオやDVDの活用
  8. ケーススタディーを絡めた研修

新入社員や一般社員、TLや係長クラスの場合、最も多い教育方法が恐らく「社内講師による研修、説明会」です。多数を相手に研修しなければならないため、コストや時間などの面から社内講師が行うのが最適と考えられます。

加えてハンドブックなどの配布や、社内ポータルなどで情報発信を行うと、よりコンプライアンスが浸透しやすくなるでしょう。

課長や部長クラス、取締役や経営者となると、外部から有識者や社外講師を招いて研修や説明を行うのが効果的です。このクラスでのコンプライアンス教育では、法令など専門知識を絡めた教育が必要となるので、やはり専門知識を有して者を講師として招くのが適切かと思います。

自社環境やコンプライアンスの浸透度に応じて、適宜組み合わせていくことで最適な教育を目指してください。

適切な文書管理も忘れてはならない

最後にコンプライアンス教育で重要なことは、適切な文書管理でいつでもコンプライアンスマニュアルを参照できるよう、保管しておくことです。

せっかく作成したマニュアルも、肝心な時に参照できなくては意味がありません。そのためにも、下記の点に注意して文書管理を行っていただきたいと思います。

  1. 文書の所在をわかりやすくする
  2. 現場で必要な文書はその場で参照できる
  3. 各文書が最新版に保たれている
  4. 訂正、廃止された文書は排除する

まとめ

コンプライアンスを制御する上で最も重要なのは、やはり適切な教育です。役職ごとに教育を実践したり、創意工夫することによって、コンプライアンスの浸透度を高め、組織の一員として、あるいは社会の一員としての行動意識を高めることができます。

そうすれば、企業におけるコンプライアンス違反は最小化し、ブランドイメージと顧客からの信頼性を継続的に維持していくことができるでしょう。

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