広告ブロックツールの利用増加

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 2016.07.07  Japanブログ編集部

広告ブロックツールの人気がどんどん高まっています。なぜでしょうか?それには、以下の理由が考えられます。

一つは、オンライン広告に対するユーザの認識と関係しています。2,000人以上を対象にした最近のKPMG調査によると、英国の46%の成人は、「広告が好きではない」事により広告表示を遮断しているという結果が出ています。

この報告で、40%以上の人は広告が適合性に欠けていると言い、一方34%の人は個人情報の乱用と認識し、これを問題視していることも判明しました。

しかし、広告は単に迷惑なだけではありません。場合によっては、ユーザを脅かす可能性もあります。

マルバタイジングとして知られる攻撃キャンペーンでは、脆弱な広告ネットワークを利用して悪意のあるコンテンツをユーザのコンピュータにダウンロードさせます。つい数ヶ月前のことですが、一部の人気の高いニュースサイトや娯楽サイトが、感染してしまった広告ネットワークからマルウェアを読者へばら撒いているという報告を目にしました。

MSNBBCの他にニューヨークタイムズ紙などのよく知られるサイトは、マルウェアを拡散する悪名高いAngler Exploit Kitを閲覧者へリダイレクトしていました。

攻撃は明らかに増えており、そのため、オンラインを積極的に活用する傾向にある若者たちが、広告ブロックツールを利用する最前線にいるように見えます。KPMG調査報告は、16歳から24歳の若者の60%近くが今後6ヶ月間に広告ブロックツールソフトウェアを利用することを明らかにしました。

しかし、いくつか問題もあります。

問題の一つは、多くの人気の高いウェブサイトは、広告ブロックツールを利用する人たちは実質的に収益を生み出さないため、彼らのアクセスを拒否する方向へ移行しつつあることです。

多くのウェブサイトは広告収入に依存しており、ジャーナリストもただ働きするわけではないため、こうした動きは理解できる、とする声もいくつか聞かれます。

これは、広告ブロックツールの持つメリットを考えると、とりわけユーザにとって難しい状況と言えます。セキュリティに関して経験豊かなトニー・マーティン-ヴェーグ氏はこの点を明確にしています。

「ほとんどのセキュリティ専門家は、多くの人々がその分野において彼ら自身がコンテンツの提供者であるにもかかわらず、ユーザに広告ブロックツールソフトウェアを使うようにアドバイスしています。」と彼は言っています。「それは、一般的なユーザにとってマルウェアから自らを守るための唯一最良のツールだからです。アンチウイルス・ソフトウェアでは簡単に回避されてしまうため、広告ブロックツールは一層効果的と言えます。広告が適切に検閲されない場合、あるいは簡単に不正利用されてしまうAdobe Flashのような技術に依存している場合、インターネットユーザもコンテンツ提供者も同様に苦労しています。広告ネットワークが、安全で楽しい体験を作り出すならば、ユーザはそれを支持します。」と彼はコメントしています。

KPMG調査報告は、ほぼ30%の回答者が最近1か月の間に、広告ブロックツールを利用したことを明らかにしました。広告ブロックツールを利用している閲覧者を遮断するサイトからすると、読者たちが別のサイトへ移動することから確実にトラフィックが減少することでしょう。それは、アンチ広告プラグインを遮断すると決めたチャネルにとって悪い知らせになります。

さらに追い討ちをかけますが、広告ブロックツールを検出しユーザの閲覧を止めるサイトでは、欧州の法律違反にも該当することになるでしょう。

オンラインニュースThe Registerではじめて報道されたように、プライバシー運動家でプログラマのアレクサンダー・ハンフ氏は、広告ブロックツールを識別するブラウザ側のウェブ・スクリプトが、人々の個人データへ不法にアクセスしていることを確認したという手紙を、欧州委員会から受け取りました。

ハンフ氏は、アンチ広告ブロックツールソフトウェアを利用する企業に対する一連の法的な異議申し立ての前提として、委員会からの手紙を利用するつもりだと述べました。

同氏はまた、数週間以内に表面化していない被告側のリストを直ちに特定できるように、コードを使用しているウェブサイトを確認できるウェブサイトを立ち上げることにしています。

これは、すぐには解決しない複雑な歴史小説のような興味深い展開です。

現にセキュリティ専門家と広告代理店の間の論争はまだまだ続きそうです。

Title image courtesy of ShutterStock

元の記事はこちらからご覧いただけます。

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